ぴえぶろの100冊・5

うるさい日本の私 (新潮文庫)

うるさい日本の私 (新潮文庫)

でたー!よしみっちゃん!著者は哲学者であり、大学で哲学を教えている。でも単なる学者じゃない!まあゆってしまえば果てしなく正直で、マジメで、不器用な人。著者はある時無意味な音が日本の街にあふれていることに気づき、しかもそれが驚くほど日本人に受け入れられていることに疑問を持つ。看板類が美観を損ねていることにNOを唱える人はいても、何故音の環境破壊にこれほどまで鈍感なんだろうか。なんてところからよしみっちゃんの戦いがはじまる。そう、この人は教壇の上からモノを説くのではなくて、街に出て戦うんですよ。「足元にお気をつけ下さい」とエンドレスで流れている動く歩道を歩く人に「この警告ほんとに聞いてますか?」なんて突撃質問したりする。まずはじめに音の問題を考えさせ、次に日本人の国民性に問題は広がってく。そしてこの国でまっとうなことをまっとうに実践していくと、「変人」となってしまう悲しさ。いや、可笑しさ。そんな3つの構造で楽しむことが出来る本です。私は3つめが一番興味深く、そこをただの悲しみでも怒りでもなく「おかしみ」として描いたことで、信頼できると思った。よしみっちゃんは「変人」だし、「人」である。愛がある!